東洋医学の視点から解説
前回(ぎっくり腰のお話しpart2)では、腰に違和感を感じた場合にとってしまいがちな行動として、ストレッチと痛みの確認動作というお話しをしました。前回のお話しをご覧になっていない方は、ぜひぎっくり腰のお話しpart1からご覧になってみてください(^^)/ 今回は完結編です。ではいきましょう!
これはぎっくり腰に限ったお話しではないのですが、よく患者さんからは「痛くなった場合は温めた方が良いの?それとも冷やした方が良いの?」と質問があります。これはケースバイケースなのですが、ご自身がその立場になった時にもし迷われた場合には、基本的に冷やすを選択しておけば間違いありません。というのも、炎症というのは熱なので、熱を落ち着かせるためには冷やすが正解だからです。ただし、なかには「温めることによって血流がよくなり、それによって炎症物質が早く去り、痛みが落ち着く」という場合もあるため、温めることもあります。
ただ、この判断というのは一般のひとでは中々分からないことなので、基本的には冷やすで大丈夫です。
ただ、東洋医学では、そもそものからだの考え方として、「炎症というのは傷口の修復のために欠かせない反応であり、それをムリヤリ冷やすと、せっかく出ている熱がまた中に入っていってしまうので、結果として傷口の治りが悪くなる」と考えたりします。
では「それだと冷やしちゃダメなの?」と思う方もいると思うのですが、そういう訳ではありません。これは、我々鍼灸師側の視点からのお話になってしまうので皆さんはちょっとわかりにくい話になってしまうと思うのですが、例えば鍼灸治療では、熱を抜くような鍼の打ち方をします、熱を抜くというのは我々の業界での表現なので、あくまでもそのような意識で鍼をするということなのですが、いちおうこれが冷やすにあたります。
あとはお灸、お灸は熱を使うので熱いのですが、熱が起きているところに熱を加えることによって逆に冷やす、というなんだか禅問答みたいなお話しになっちゃいましたが(;^_^A 例えるなら、東南アジアなど暑い国では辛い料理があります。ただ、辛いものを食べると汗をかくしからだが熱くなりますよね?でも、汗というのはなんでかくかというと、発汗は熱をだすからだの反応だからです。辛い物を食べることによって、汗をかいて、からだを冷やす。これは暑い地方で生きていく為に、自然と考えられた、いわゆる生きていくための知恵みたいなものでもあります。
話しが少しズレましたが、炎症が起きているところにお灸をするというのは、これと同じで「炎症が起きているところに、お灸という熱刺激を加えることによって、炎症を落ち着かせる」という考え方に基づいた、治療方法になります。ただし、これをやるには鍼にしてもお灸にしても、かなり技術が必要になります。下手をすると逆に炎症が悪化しかねないので、私も鍼をやるときには、かなーり集中して慎重にやってます。
こんな感じで治療をしていくと、個人差にもよりますが、早い人は直後から「少し楽になってきた」と仰る方もいたりします。もちろん直後は全く変わらない場合もあるし、少しだけ良くなったかも?ぐらいに仰る方もいるしで、反応のでかたはかなり人によりけりではあるのですが、ただひとつ言えるのは「鍼灸治療をしていると、何も治療しなかった場合に比べて、痛みは早くよくなる」ということです。
よく「一発で治せる」とか謡っている治療院とか、患者さんでも「あそこに行くと一発で治る」なんて、言う方もいらっしゃいますが、それはそこに行ったから一発で治ったのではなく「一回やれば治る症状だった」ということです。どんな名医に治療を受けたとしても、一回では治らないこともいっぱいあります。なので、こんな謳い文句を言ってる人がいたとしたら「それはあなた場合の話しですよね…」と思って頂ければと思います。
で、結論としては、ぎっくり腰になったら、先ずはムリにストレッチとか痛みの確認動作はせず、安静にしてください。あとは、鍼灸治療という選択をチョイスできるのであれば、信頼できる鍼灸師がいるのであれば鍼灸治療もおススメします。
以上、ぎっくり腰のお話しについてでした。
次回はまた別のテーマでお話ししていきますのでお楽しみに(^^)/