鍼灸治療について
鍼って痛くないの?
これ、たまに聞かれます。そして、大体の鍼灸院では「鍼は髪の毛ぐらいの細さなのでいたくありません!」と説明していたり、HPなんかを見ても大体そんな感じで書いてあります。でも、鍼がからだの中に入るっていうとやっぱり痛いんじゃないの?って思うと思います。
私の答えは、半分正解で半分間違っているです。
先ずは正解の方から。
鍼は確かに髪の毛ほどの細さで、なおかつ鍼先の形に工夫があります。その工夫とは、鍼先を尖らせると痛みを感じやすくなってしまうため、鍼先は丸くしてあり、刺したときの抵抗を少なくしてスムーズに非常に入るようにできています。
また、鍼そのものはクニャクニャと柔らかく柔軟性があるため、鍼を体内に刺したときに血管を避けて入っていきます。血管を突き破らなければ血はでないため、鍼を刺しても血がでないのはそのためです。
鍼自体にこのような工夫が施されていることから、鍼治療というのは基本的に「痛みがでない」ようになっています。
では次に、間違いの方へ行きましょう。
先述したように鍼そのものには、痛みがでないように工夫されています。が、その鍼を扱う術者の腕と患者さん側の刺激に対する感受性というのは非常に個人差があります。
鍼をブスブス刺しても全く平気、という人もいれば、極端の話し鍼が皮膚にあたっているぐらいでも痛みを感じる人もいます。
鍼をいくら刺しても平気という人はよいのですが、問題は後者の場合。刺激に対して、非常に敏感な方の場合、必要以上に刺してしまうと痛みを感じてしまったり、場合によってはドーゼオーバーといって刺激量が過剰になってしまい症状が悪化してしまったりするケースもあります。
そして、「鍼は痛かった」「鍼は怖い」「鍼は苦手」という人は後者の方がほとんどであったりします。
なので大事なのは、患者さん一人ひとりの体質をちゃんと把握して刺激量を間違えずに鍼治療をすること。これはどれだけベテランになってもこの判断は難しかったりします。
そして、この刺激量というのは過剰になってしまうのはもちろんダメなのですが、といって軽くやりすぎて刺激が足りなさ過ぎても効果がありません。ちなみにいうと、「鍼にいったけど効果がなかった」「鍼は効かない」という方は後者の方がほとんどになります。
あとは単純に、刺し方が悪いと痛みがでることがあります。これは術者の問題になります。
最初の問いに戻ると鍼は痛いのか?というのは鍼そのものには痛みがでないように工夫が施されているので痛くはないのですが、問題は鍼を扱う術者で、術者の扱い次第では痛いこともあります(^_^;)という、そんなお話しでした。